システムアーキテクチャ方法論調査報告書

システムを開発する場合、まずシステムが何をするのか記述しなければならない。この行為をソフトウェア工学では「分析」と呼ぶ。システムは一般に複雑であり、複雑なシステムが何をするか記述することは容易ではない。これを解決するために分析では「モデル」を導入し、これを使ってシステムが何をするかを記述する。ここでモデルとはシステムを抽象化し、システムのある側面に焦点をあてたものである。我々はモデルを使って複雑なシステムを単純化し、幾つかの異なるモデルを使ってシステムの多様な側面を扱う。分析モデルでは個々の実現条件を考慮しない、理想的な環境のもとで、システムの機能的な振るまいやシステムの構造を規定する。こうすることで、どのような実現になっても共通の考慮しなければならない本質的な構造や処理を見いだすことにより、システムの適切性、頑強性を考えることができるからである

ITSもその一部である車載システムも上記の意味で複雑なシステムであり、何をするかの記述にこうしたソフトウェア工学の分析手法が有効であると考えられる

本別冊では、これまでソフトウェア工学の分野で発達してきた2つの分析手法、構造化分析手法とオブジェクト指向分析手法の概要を述べる。2章では構造化分析手法について、3章ではオブジェクト指向分析手法について述べる。4章ではITSのシステム分析での利用の視点から構造化分析手法とオブジェクト指向分析手法を比較する。付録では1996年11月にITSオーストラリアのスミス博士を招いて行われたオブジェクト指向に関する講演記録を掲載する。付録1は後援会の概要である。付録2はスミス博士が使用された資料に簡単な解説を付与したものである

1 はじめに
2 構造化分析手法
 2.1 処理重視システム用の構造化分析
 2.2 制御重視システム用の構造化分析手法
3 オブジェクト指向分析手法
 3.1 オブジェクト指向分析手法の発達
 3.2 OBJECT MODELING TECHNIQUE(OMT)
 3.3 OBJECT-ORIENTED SOFTWARE ENGINEERING(OOSE)
 3.4 UNIFIED MODELING LANGUAGE(UML)
4 考察