ITS車載機器標準化のための要素機能と試験方法に関する調査研究
【次世代車載情報システムに関する調査研究】

1.調査研究の目的

本研究は、車載情報システムのリファレンスレイヤモデルについて、WG16で提案されているシームレスな移動体通信のアーキテクチャとの関係や、WG14の検討領域の一部である車両制御システムとの関係を明確化する。

2.調査研究の概要

(1)車載サービスの通信メディアに関する要件整理
 リファレンスレイヤモデルの適用性の検証のために想定した車載サービスや、実際の車載通信サービスにおいて利用されている通信メディアの要件を整理し、通信メディアを用いたサービスへのリファレンスレイヤモデルの適用性について検討した。

(2)WG16 CALM(Continuous Air interface for Long and Medium distance)アーキテクチャとの関係
 WG16 CALMで検討されているIPベースの通信メディア切替えは車載情報システムのリファレンスレイヤモデルに記載される複数の通信システムの中で、メディアを切替える1つの通信システムとして位置付けられることから、CALMのCME、NMEは、リファレンスレイヤモデルのコントロール層と対応付けることは適当ではないことが明らかになった。
また、CME、NMEは、通信速度や料金など、アプリケーション用途によって最適な通信経路や通信インフラを選択するための判断基準を設定し、判断基準に基づき通信経路や通信インフラを切替える機能を持つため、リファレンスレイヤモデルとの関係を下記のように位置づけた。
・CMEおよびNMEは、Data Access Tool層の中に位置付けられる。
・CALMのアプリケーション部分については、リファレンスレイヤモデルData Access Tool層より上位の層に位置付けられる。
・CALM Network Interface Layerより下位のNetwork Data Link Layer とNetwork Physical Layerは、それぞれIO Unit ManagerとIO Unitに対応する。

(3)車両制御モデルとの関係について
 リファレンスレイヤモデルは、車載情報処理モデルであり、外部からの情報ソースを加工して利用者に提供することや、利用者の入力によって内部の情報処理や外部との入出力を表現するものである。
また、運転支援システムにおける警報の様に、実際に安全性や運転挙動に直接影響する情報をドライバへ提供する場合、既往のカーナビゲーションシステム等の車載情報システムを利用することは信頼性の面で課題がある。運転支援にかかわる警報を出す場合にはWG11で扱う車載情報システムではなく、信頼性の確保を第一とされる車両制御システムから直接ユーザへ提供する方が適当である。
車載システムは、1)パワートレイン制御、2)シャシ制御、3)ボディ制御、4)情報通信に分類でき、4)情報通信が、車載情報処理モデルの領域であり、リファレンスレイヤモデルの対象領域であることを示した。
リファレンスレイヤモデルは、車載情報処理システムをスコープとしており、車両制御システムはスコープ対象外の扱いであり、車両制御に対応したレイヤモデルはWG14において検討が進められている。システムの特性等に応じて、将来的には車載情報処理システムと車両制御システム間の連携の必要性が生じることが予想されるが、特に車載システムの動作内容を規定するコントロール層において関係する場合には、相互のモデル間での調整が必要になると考えられる。

4.今後の課題

本検討結果は現在WG11で進められている「Onboard System Architecture- A Reference Layer Model」のWD(Working Draft)改訂に反映した。このWDは現在PASとしての発行手続きが進められている。 現在のPASの内容は、基本的に車載情報システムを対象範囲としており、CALMアーキテクチャや車両制御システムについては、将来、これらの検討状況により、ドキュメントへの追加が必要となる可能性がある。