ITS車載機器標準化のための要素機能と試験方法に関する調査研究
【ITSサービスにおける中広域通信システムの機能要件の標準化に関する調査研究】
−プローブ情報とアプリケーションインタフェースに関する調査研究−

1.プローブ情報システムの現状

プローブ情報システムは現在実際に運用されていたり、実運用に近いレベルの実証実験を行っており、その多くは、交通情報の取得を主目的としたものが多い。日本のJSK(当時)プロジェクト、ドイツのDDG/TegaronのFCDシステム、フランスのVisonaute、韓国のROTIS、米国のTravTekプロジェクトやTransGuideプロジェクト、スウェーデンのROTIS、オランダのLogicaCMGのシステムなどはこの範疇に含まれる。典型的には個々の車両の旅行時間を統計処理してリンク旅行時間を計算したり、渋滞の検知を行ったりすることがその中心となっている。また、国土交通省では政策評価分野で渋滞損失の計測を実用化している。

2.プローブデータ標準化の現状

TC204/SWG16.3で検討されているプローブデータは、統計的に処理されるもので、個人情報を含まない、すなわち、車両やドライバを識別できないプローブデータに対象を限定している。一方、日本では、例えばインターネットITS協議会などの場においても、個体識別可能な情報を含めた、より広義のプローブデータのビジネス活用が検討されている。標準化を進めるにあたっては、広義のプローブデータを踏まえた上で、狭義のプローブデータの標準化について、その対応方針を明らかにすることが必要となっている。

3.調査目的

現状のTC204/SWG16.3における標準化活動の位置づけを理解し、現状の課題を認識し、今後の標準化活動の方針を検討する目的で、TC204/SWG16.3が想定する狭義のプローブ情報システムやプローブデータだけでなく、より広義のプローブ情報システムならびにプローブデータに関する調査研究を行った。

4.調査内容

調査は、現在運用あるいは検討されているプローブ情報システムの動向や内容を調べ、それらを踏まえた上で標準化の課題を整理し、現状の標準化との関係や整合性に配慮しつつ、今後の標準化の方向性を検討するという手順で行った。以下が、本調査研究における調査対象システムである。  ・BMWのXFCD
 ・DLRのリアルタイム情報システム
 ・スウェーデンのOPTIS
 ・オランダのLogicaCMGのシステム

5.成果

(1)システム構成
 現在のTC204/SWG16.3の活動は「車両に関わる情報を車両が自立的に捕捉して車外に送信するシステム構成において、probe vehicleからprobe collectionへ送出するデータの標準」であることを明確にすべきである。典型的には車両メーカーや車載器にとってのプローブ送信の標準と限定的に捉える。
一方、本来TC204/SWG16.3がフォーカスしてきたアプリケーションレイヤの標準化という観点からは、論理的な機能上でのインタフェースとなるはずであり、それが車両と車両外という物理的な境界と必ずしも一致するとは限らない。よって、現状の標準案はその両者が一致する状況を想定しているが、それが唯一の姿では有りえない。

(2)データ要素コンセプト
 コアデータ要素における高度(altitude)の扱いに関しては、調査結果からはコアデータとして必須項目にするまでの強い理由付けは得られなかった。また、プローブデータ要素の初期のリスティングについては、調査研究対象との比較においては使われていないものが多く、将来的な利用可能性の想定を踏まえたものになっていると考えられる。標準化にあたっては、初期のリスティングに掲載すべきプローブデータ要素の基準を明確にしないと、標準としての妥当性や一貫性について課題を残すことになると考える。

(3)個人情報の扱い
 TC204/SWG16.3では、個人情報は車外に出てはならないとされているが、例えばDLRなどのシステムではタクシー運行管理システムとのシステム共有化を積極的に図っており、またInternet ITSなどでも同様の検討がなされている。
 今後は、そうした状況も視野にいれた標準化が望ましいと考える。こうした問題に関しては既に国内主導で検討の動きが始まっており、その成果との整合をとっていく必要があると考える。