ITS車載機器標準化のための要素機能と試験方法に関する調査研究
【車車間通信システムの標準化に関する調査研究】

 ITS周波数帯として世界的に定められている5.8GHz〜5.9GHzに注目して、車車間通信の標準化の可能性を検討している。本調査事業は以下の3つのテーマに沿って活動を進めており、H16年度の活動成果をそれぞれについて要約する。

(1)コンセプトリファレンスモデルの構築
 コンセプトリファレンス(CR)モデル構築の検討はH14,15の2年度にわたって電子通信情報学会に委託してきたが本年度は活動そのものはいったん休止し、これまでの成果をIEEE・2004ITSCなどに外部発表して反応をみることとした。その結果、CRモデルのような概念の整理といった課題には国内より海外の方が関心が高いことがわかった。
 一方、H16年11月のISO/TC204/WG16のアナポリス会議で車車間通信のリクワイアメントについて整理することの合意がなされ、H17年2月の沖縄会議から正式の議題に加えられた。この会議においてこれまで検討した車車間通信のコンセプトリファレンスモデルの一部を紹介した。

(2)車車間通信プロトコルの基本性能検証
 通信プロトコルについてはネットワーク層の機能であるマルチホップ機能に焦点をあて、簡単なプロトコルによりその有効性を確認した。マルチホップ機能は
 (1) 単一の通信機の通信範囲を超えた広域への通信
 (2) 見通し不良域での通信
にとって不可欠の機能であり、海外の車車間通信研究では多く扱われている。本調査研究においては公共安全の視点から、安全運転支援にターゲットを絞って
 ・ 見通し不良域でのリアルタイムな安全情報の提供
に即したマルチホップ機能とその評価について検討した。具体的には、ARIB標準T75ベースの車車間通信を用いて、直線路及び交差点(L字路とT字路)において実験を行い、ホッピングによるパケット到達率を改善できること、またホッピングによる遅延時間の影響を極めて小さくできることなどを確認した。

(3)海外関連機関との情報交換および連携
 H16年度は欧州の車メーカ、大学、研究所、道路事業者など、具体的に車車間通信のプロジェクトに携わっている機関を訪問し情報交換を行った。欧州では多くの方式によるプロジェクトが進んでいたが、ようやくここに来て、C2CCC(Car to Car Communication Consortium)による標準化の取りまとめという構図が見えてきた。
 こうした海外機関との情報交換のための機関としてITSフォーラムの車々間通信システム専門委員会のもとに "VSCタスクグループ" がH16年に設立され、JARI/ITSセンターを含む国内のVSC関連組織が参加し、国内的なVSC情報の共有体制が整備された。VSCタスクグループはH17年5月末にドイツにおいてC2CCCと共同のワークショップを開催する。