実配備におけるシステムアーキテクチャ活用手法の研究報告書

●研究開発の背景と目的

1.研究開発の背景

平成14年度までの事業「実配備におけるシステムアーキテクチャの活用手法の研究」により、地方自治体等を主な対象とした地域アーキテクチャ策定の手引きと実際の策定作業を支援するソフトウェアを作成し、これらが地域におけるITSの導入計画に有効であることが明らかになった。
一方、近年、研究開発が進められているインターネットITSのように、複数の民間企業が事業連携するITS(以降、産業クラスターITS)の実配備にあたっては、これら企業をコーディネートする組織(協議会等)が、利用者のニーズに整合し、かつ、各企業にとって事業性が高いサービスを計画する必要があり、その為の事業化スキームの確立が急務となっている。
産業クラスターITSでは、事業性の高い多様なサービスが要求されること、事業のスクラップ&ビルドが早いこと、更に、法的規制による制約や社会受容性などを考慮する必要があること等、その事業化にあたっては様々な課題があり、これらの課題解決に有効なツールの開発が望まれている。

2.研究開発の目的

本研究では、平成14年度までに開発した地域アーキテクチャの策定手法を拡大適用し、民間ITS事業へのシステムアーキテクチャの適用を念頭に、民間事業を対象としたアーキテクチャの構築手法を確立するとともに、民間事業者にとってのメリットと効果を明確化することを目的とする。
具体的には、民間事業者独自のサービス事業にも対応可能となるよう、日本のシステムアーキテクチャには存在しない新しいサービスの追加に対応可能な手法等を開発し、事例による試作作業を行いつつ、一連の作業を分かりやすく解説した資料としてとりまとめる。

3.産業クラスターITSとは

産業クラスターとは、一般に複数の民間事業者が複合的に商業上の取引を行い、事業者間、事業者〜一般消費者間の取引を複数含む事業形態を指す。
一般に民間事業者の事業においては、ほとんどの場合において複数の事業者間、事業者〜一般消費者間の取引が関連することから、本研究では、産業クラスターITSを民間事業者主体のITS事業と読み替えることとする。

●研究開発の成果の概要

本研究開発の結果、得られた知見等をもとに、本研究開発の成果の概要を整理した。 平成14年度までに開発した地域アーキテクチャ作成手法を拡大適用することにより、産業クラスターITSアーキテクチャ作成手法を確立することができた。既存のサブサービス群における類似のサブサービスをベースに改変することによって、日本のシステムアーキテクチャにない新しいサービスへの対応が可能であることが示せた。
また、自動車共同利用システムを一例とし、本手法による産業クラスターITSアーキテクチャを試作し、作成したアーキテクチャを活用することにより、ビジネスモデルの検討を行う手順や考え方を示すことができた。
さらに、本研究開発では、上記の評価結果を踏まえて、「ITSビジネスアーキテクチャ検討の手引き」を作成することができた。
支援ソフトウェアに関しては、特に民間事業者の利用を考慮し、「情報の閲覧性(印刷機能の強化)」「ユーザインタフェースの強化(検索機能の強化)」に係るポイントについて改良を行った。 結果として得られた「ITSビジネスアーキテクチャ検討の手引き」および支援ソフトウェアは、今後、我が国において展開が想定される、複数の民間企業を主体に構成される産業クラスターITSアーキテクチャを作成するにあたり有効活用が可能なものと考えられる。