ITS地域展開計画手法の国際文書化

 平成14 年度までの事業「実配備におけるシステムアーキテクチャの活用手法の研究」により、地方自治体等を主な対象とした地域アーキテクチャ策定の手引きと実際の策定作業を支援するソフトウェアを作成し、これらが地域におけるITS の導入計画に有効であることが明らかになった。
 一方、近年、2008 年にオリンピックが開催される中国や台湾、韓国等のアジア諸国でITS の導入に係る活動が盛んになってきており、それにともない、日本企業がアジアで活動する機会も増している。このような背景から、我が国のITS 関連企業においても、アジア各国、各都市がITSの展開計画を作成する準備段階より参画するケースが多くなると思われるが、そのような場合には、日本国内に限定される手法等を用いることは許されない。そのため、ITS 展開計画の立案手法として日本で開発した手法を国際的なものにしておく必要がある。
 本研究開発では、ISO/TC204 等の国際標準化関連の機関において、日本が開発したITS地域展開計画手法を標準化検討の俎上に載せるべく、必要な資料の収集、文書の作成等を行った。具体的には、アジア諸国のシステムアーキテクチャ策定状況を調査し、H13〜14 年度ITS規格化事業で策定した「システムアーキテクチャを活用したITS 地域展開計画手法」のアジア諸国への適用性を検討した後、ISO/TC204 などの場に提案するための文書作成を実施した。
 アジア諸国においては、中国、台湾、韓国で国レベルのITS システムアーキテクチャを策定していることが分かった。英語で公開されていた中国、台湾のアーキテクチャについては、いずれも米国のシステムアーキテクチャを参考に、米国と同様の手順(構造化手法)で策定されており、これらに対して、日本で開発した地域展開計画の策定手法を適用可能である。
 欧米においては、さまざまな手法でITS の地域展開を図っている。米国では、地域アーキテクチャを策定した上で実配備を行うことに対して補助金を与えることにより、地域アーキテクチャの策定を促進するとともに、地域アーキテクチャ策定のガイドラインや成功事例集を発行している。欧州では、フレームワークアーキテクチャの策定・拡充、システムアーキテクチャに係る情報提供、セミナーやワークショップの開催などにより、各国でのシステムアーキテクチャの策定促進を図っている。
 以上の調査結果をもとに提案文書を作成し、日本で開発したITS 地域展開計画の策定手法をISO/TC204/WG1 に提案、PWI(予備作業項目)として採択された。本提案に対して、欧州、米国等が強い興味を示し、日本の提案に賛同するとともに、さまざまな建設的な意見や助言が提示された。