基準認証研究開発事業
ITS通信システムアーキテクチャのISO提案

1.背景
 ITSのアプリケーションや通信システムを含むアーキテクチャとしては例えばISO/TC204/WG16で標準化を行っているCALMアーキテクチャが挙げられるが、今後のITSでは、第2ステージの主要な柱である道路交通の安全性向上などのアプリケーションやテレマティクス関係などの様々なアプリケーションを利用できる環境を提供することが求められている。例えば、走行しながら路車間通信で交通情報を通信している間に交差点に近づき車車間通信で安全に関する情報を通信する場合を考えると、交通情報から安全へアプリケーションの優先順位を判断したり、アプリケーションが切換わると共に路車から車車へ通信経路が切換わったり、通信に関するQOSが変わることも考えられる。このようなアプリケーションの切換えを実現するためにはアプリケーションと通信システムが紐付けされた個別のシステムを後から統合していくことは非効率であり、最初に全体のアーキテクチャを定めてシステムの研究開発を行った方が効率的である。そこで、より幅広い視点からITS通信システムに関するアーキテクチャと重点標準化項目を設定する必要がある。

2.目的
 本調査研究では多様なアプリケーションを実現可能とする将来の通信システムのあり方を含めた次期ITS通信システムのアーキテクチャを策定し、ISO/TC204における新たな作業項目の可能性についてフィージビリティスタディを行った。

3.研究結果
 研究内容としてITSに関係するアプリケーションや通信システムの整理、通信形態や通信経路の分析を行い、アーキテクチャの基本的な骨格となる要素と要素間の関係をOSIのレイヤモデルを参照して整理し、アーキテクチャを構築した。このアーキテクチャは、複数のアプリケーションの優先制御、通信経路制御、中継制御(マルチホップ制御)、通信メディア制御、通信メディア切替制御、通信形態制御(グループマネジメント機能)などの制御機能を有しており、通信の下位から上位レイヤに属する構成要素やアプリケーションに関わる構成要素が、アプリケーション、通信ネットワーク、通信メディアの各レイヤにまたがって、つながりを持っている。このため、各レイヤにおける上記制御間の調整機能だけでなく、レイヤを超えた調整もしくは管理するような総合的なマネジメント機能が特徴である。

4.標準化項目
 上記のITS通信システムアーキテクチャを標準化するため、以下の項目について検討が必要である。

(1)構成要素と要素間の関係
 今回構築したアーキテクチャを標準化にするにあたって、各個別の構成要素とそれらの相互の関係(関係の有無、メッセージ、プロトコル)の規定が必要である。

(2)マネジメント機能
 マネジメント機能はアプリケーション、ネットワーク、通信メディアの各層にわたって存在する構成要素を結びつけて全体の動作を実現しているため、役割や制御する構成要素の範囲、インターフェイス、入出力メッセージ、優先順位などの規定が必要である。

(3)マネジメント機能に関するインターフェイス(メッセージ、プロトコル)の標準化
 マネジメント機能およびその連携動作は複雑であるので、マネジメント機能間で授受されるメッセージ、プロトコルを整理し、規定する必要がある。

5.今後の課題
 今後の課題としては上述のように要素の定義や要素間の関係を整理し、標準化のポイントを明確にするとともに、構築したアーキテクチャの評価や標準化を推進するための体制整備も必要である。