-ITS 車載機器標準化のための要素機能と試験方法に関する調査研究-
システム限界のドライバへの伝達手法に関する調査研究

ドライバの認知、判断、操作を支援する様々な運転支援装置が提案され、実用化のための研究開発が推進されている。これら運転支援装置は、その支援レベルにより、「情報提供装置」、「警報装置」、運転負荷軽減あるいは事故回避支援を行う「制御装置」に分類することができる。ISO/TC204/WG14(Vehicle/Roadway Warning and Control System:走行制御分科会)では、2001 年より、低速度域での先行車両への追従走行を可能とする拡張アダプティブクルーズコントロールシステム(Enhanced Adaptive Cruise Control system:EACC)や、前方障害物衝突防止支援システム(Forward Collision Avoidance Assistance System:FCAAS)などの制御装置のISO ドラフト策定作業を開始した

これら制御装置に関するISO ドラフト策定作業では、「システム限界警報」の呈示方法が、動作要件に関する審議項目の一つとして挙げられている。例えば、低速度域での先行車両への追従走行を可能とするEACC は、設定された加減速度の範囲内で車両の前後方向の走行制御を行うため、ドライバが支援装置を過信し、自ら十分なアクセル/ブレーキ操作を行わない状況が発生する可能性があることが懸念されている。このような運転状況において、先行車両が急減速を行った場合、運転支援装置が正常に動作しているにもかかわらず、十分な減速を行うことができず、先行車両に衝突の危険性が発生する状況がある

こういった「システム限界」の状況において、システム限界警報を呈示することにより、危険状況に対するドライバの状況認識レベルを高め、ドライバに制動動作を促すことが有効であると考えられている

本調査では、(財)日本自動車研究所(以下JARI と記す)のドライビングシミュレータを用い、EACC のシステム限界が発生するような走行状況においてシステム限界警報を呈示し、システム限界警報の有効性について実験的に検証した。また、ドライバの危険判断基準に一致した警報呈示タイミングについて考察した。本調査で得られた、システム限界警報の呈示タイミングの最適値に関する調査結果は、WG14 傘下のEACC サブワーキングに提示し、システム限界警報の警報呈示タイミングに関するミニマム・リクワイアメント策定のためのバックデータとして活用される

第1章 はじめに

第2章 システム限界時におけるドライバの運転特性
 2.1 実験方法
 2.2 実験結果

第3章 システム限界時の警報呈示方法に関する考察
 3.1 システム限界警報の呈示がドライバのシステム信頼感に与える影響
 3.2 システム限界警報の呈示タイミングとブレーキ操作タイミングとの関係
 3.3 ドライバの危険判断基準に一致したシステム限界警報の呈示タイミング
 3.4 不警報の場合における状況認識の改善方策

第4章 まとめ
 4.1 システム限界警報のシステム信頼感に与える影響
 4.2 システム限界警報の呈示タイミングとブレーキ操作タイミングとの関係
 4.3 ドライバの危険判断基準に一致したシステム限界警報の呈示タイミング
 4.4 不警報の場合における状況認識の改善方策

参考文献

付録
 表A-1:被験者リスト
 表A-2:車両状態量およびドライバ操作量
 表A-3:システム限界警報のタイミングに関する主観評価結果
表A-4:システムの信頼感に関する主観評価結果