-ITS 車載機器標準化のための要素機能と試験方法に関する調査研究-
前方障害物回避支援システムの動作要件に関する調査研究

FCAAS(Forward Collision Avoidance Assistance Systems:前方障害物回避支援システム)は、ドライバの制動、操舵で前方障害物を回避できない状況において、自動ブレーキシステムが自動的に介入し、ドライバの運転を支援することを目的とした、自動車の安全に係わる支援システムである。しかし、自動制御システムがブレーキ制御で衝突を回避しようとすると、ドライバの操舵回避と干渉する可能性がある。本調査研究では、前方障害物との衝突を回避、あるいは衝突時の被害を軽減させる観点から、ドライバの操舵操作による前方障害物への回避特性を調査し、操舵回避と干渉がない、あるいは干渉が少ないFCAASの動作要件を検討する

FCAAS の自動ブレーキ制御がドライバの操舵回避の操作と干渉せず、かつシステムを確実に作動させるためには、ドライバの操舵による回避可能な操舵タイミングの限界を明らかにすることが重要である

本調査研究では、一般ドライバを対象に、テストコースにおいて前方障害物衝突回避時の操舵開始タイミングおよびドライバの操舵回避可能な限界を調査し、支援システムの警報や自動制御介入の適切なタイミングを検討するための基礎的データを取得する

調査は以下の事項について行った

(1)主観評価
操舵による障害物回避時の余裕度に関する評価を行うために、被験者が操舵による回避操作を行った直後に、回避時の余裕度の主観評価を被験者に求め、操舵開始提示タイミングと回避余裕度の主観評価との関係を検討した

(2)通常の操舵開始タイミング
車両が指定速度で走行し、被験者による任意の操舵タイミングで操舵回避を行った際の操舵開始タイミングを、衝突予想時間という評価指標として調査した

(3)制限した操舵開始タイミング
被験者の操舵開始のタイミングを警報の提示により制限する条件で実験を行い、被験者が操舵を開始したタイミングを障害物への衝突までの予想時間(衝突予想時間)として、前方障害物への衝突率と衝突予想時間との関係を調査した

(4)被験者の主観評価による衝突回避限界の操舵開始タイミング
操舵開始タイミングを警報の提示により制限した走行実験データから、被験者が障害物を回避する余裕度として得点6(「余裕がない」)と主観評価した場合のデータを用い、被験者が主観評価する衝突回避限界の操舵開始タイミングを検討した

(5)一般ドライバが操舵回避できる限界となる操舵開始タイミング
被験者の通常の操舵タイミングで操舵を行った状態、操舵タイミングを警報により制限した状態、および被験者の主観評価による衝突回避限界のタイミングで操舵を行った状態の車両挙動を比較・調査し、一般ドライバが操舵回避できる限界となる操舵開始タイミングを検討した

第1章 はじめに

第2章 調査内容

第3章 実験方法
 3.1 調査方法
 3.2 実験項目
 3.3 実験手順

第4章 実験結果
 4.1 主観評価結果
 4.2 通常の操舵開始タイミング
 4.3 操舵開始タイミングと前方障害物への衝突率との関係
 4.4 被験者の主観評価による回避限界の操舵開始タイミング
 4.5 一般ドライバが操舵回避できる限界となる操舵開始タイミング

第5章 まとめ

参考文献

付録