H19年度受託テーマ(自主研究)
賛助員の方は、賛助員のページで報告書を閲覧することが可能です。(一部提供のみ)
環境・エネルギに関する研究
| 研究テーマ |
低温無煙ディーゼル燃焼研究 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
NOx、スート、燃費、燃焼騒音の4項目同時低減を達成するディーゼル燃焼方式を開発することを目的に、不均質な混合気濃度分布を与えたPCI燃焼について単気筒エンジン試験と3D-CFDシミュレーションによって燃焼解析を行なった。混合気濃度分布の不均質化は、噴射時期を上死点近傍に設定することで予混合期間を短縮し、さらに噴射圧力およびノズル仕様の変更によって実現した。その結果、着火時の混合気濃度分布のブロードバンド化によって静粛な低NOx燃焼が可能になるが、噴射圧力およびノズル仕様の変更だけでは燃焼過程後半にまでリッチ混合気が滞留し、多量のスート排出を伴なうことが分かった。 |
| 研究テーマ |
低エネルギー密度バイオマス燃料のエンジンにおける利用技術の研究開発 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
本研究は、バイオマスエネルギーの地産地消による利活用に資するため、発電等の定置用途を想定して、高含水率バイオマス燃料をディーゼルエンジンに利用するため技術開発を行うことを目的としている。燃料には簡易精製したエタノールを想定し、軽油の低位発熱量の1/4になるように水で希釈したものを用いている。 エネルギ密度と自己着火性が従来の燃料より大幅に劣る高含水率エタノールを、効率良く利用するために、エンジンの排熱を利用して燃料を予熱し、着火の安定性を確保する必要がある。そのため、過去の研究で400℃程度(水の臨界温度以上)まで予熱可能なソレノイド式インジェクタを試作してエンジン実験を行ったが、噴射特性により、エタノール41vol%(含水率59%)で正味熱効率が30%程度に留まった。2007年度は、ソレノイド方式からピエゾ方式に改良したインジェクタを試作し、大幅な噴射特性の改善が得られた。 また、高含水率エタノールの安定した着火性を確保するための化学反応動力学計算による技術検討を行った。吸気加熱、ホットEGRの利用を想定し、吸気温度・EGR率・燃料予熱温度をパラメータとして、安定した運転可能範囲を検討した。 |
| 研究テーマ |
ディーゼル燃焼シミュレーションの高精度化に関する研究 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
高効率・低エミッションディーゼル燃焼法の研究開発支援を可能にする燃焼シミュレーションツールの開発を目標とし、各種サブモデルの改良を行った。近年注目されているHCCI燃焼法やPCI燃焼法などの予混合的なディーゼル燃焼法において、広い運転条件下で精度良く燃焼特性を再現可能にすることを目指した。 ベースのCFDコードとしては、エンジン燃焼シミュレーションにおいて世界的に広く利用されているKIVA-3Vを用い、噴霧や燃焼モデルなどの各種サブモデルに改良を施した。液滴分裂モデルの改良、詳細反応スキームの導入、粒子核形成から凝集・表面成長までの一連の過程を含む包括的スート生成モデルの構築などにより、単気筒エンジン試験で取得した熱発生率やエミッション排出量に関して、高い精度で予測することが可能となった。特にこれまでに定性的な予測も困難とされていたスート排出量に関して、燃料噴射圧、噴射時期、およびEGR率に対して、実験で確認される傾向を良く再現することが可能となった。 |
| 研究テーマ |
都市構造を考慮した自動車の適正利用策に関する研究 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
本研究では、都市構造が交通政策効果に与える影響を分析するための都市交通モデルを開発した。その際、交通量分布や機関選択といった需要側のモデルとともに、公共交通のサービス水準や道路速度といった供給側の条件もモデル化し、将来の人口構成変化、および都市構造変化が交通需給に与える影響を分析可能とした。 これを、2030年の交通政策分析に適用し、都市交通によるCO2削減ポテンシャルを試算した。その結果、都市構造がコンパクト化する場合にはCO2削減幅が大きく、かつ利用者便益も維持しうることが示された。一方、都市構造が趨勢のままの場合にはCO2の削減と利用者便益はトレードオフの関係になる可能性がある。 また、都市圏毎の推計結果から、2030年時点でも首都圏では公共交通の利用促進によりCO2を削減しうるが、多くの地方都市ではCO2削減のために公共交通サービスを低下させる必要性が導き出された。また、大阪都市圏、名古屋都市圏、およびいくつかの地方中枢都市では、公共交通利用促進によるCO2削減効果は都市構造により異なり、CO2削減と利用者便益の確保を両立するためには都市構造のコンパクト化が必要であると示唆された。 |

| 研究テーマ |
二次生成有機粒子の動態解明 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
大気汚染物質の一つである微小粒子は、海外の環境基準値に比べると日本の都市部は依然高いレベルにある。規制の効果などを検証するためには、それらの発生源に関する情報、特に都市域で主要な有機成分の寄与、それらの生成メカニズムに関する情報を得ることが重要となる。 気環境のリアルワールド分析を行うため、最新の飛行時間型エアロゾル分析計をツールとし、光化学スモッグ(二次生成有機粒子)を再現する世界最高峰の室内実験施設(カリフォルニア大学リバーサイド校のCE-CERT(College of Engineering – Center for Environmental Research & Technology))で基礎メカニズムの把握、新しいリセプターモデル(PMF、Positive Matrix Factorization)による解析研究を行った。 これにより、自動車排ガスを含む発生源の寄与率をリアルタイムで推計することが可能になり、沿道大気環境では予想以上に光化学スモッグの寄与が高いという結果が得られるなど、大気汚染の総合理解へ大きく前進する成果が得られた。 |
| 研究テーマ |
アジア諸国への政策立案支援 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
本報告書では中国、インドネシアにおいて、それぞれの政府関係者等を招いて開催したJARIラウンドテーブルの結果として、大気汚染削減に関する各国の取り組み状況についてまとめている. 現在、中国では排出ガス規制EURO3(小型、中型、大型車)、インドネシアでは排出ガス規制EURO2(ガソリン車、二輪車)が導入されている。今後、中国、インドネシアで共通する問題として、排出ガス規制導入に対応した燃料が充分供給されていないことが懸念されている。 排出ガス規制に対応した燃料供給状況を見ると、EURO4に移行するまで通常4~6年のリードタイムが必要と言われている。中国全体でEURO3からの移行期間は3年となっている。インドネシアは燃料への補助金政策等により、製油所改善の資金調達が遅れており、EURO4導入目標年の設定が急務となっている。 排出ガス規制に適合した燃料供給不足の原因は、急激な自動車保有台数の増加に伴う燃料需要の増加と燃料品質に対する認識の甘さが原因と考えられる。2012年の供給量確保と燃料品質確保の同時達成が困難である状況が明らかになった。 |
| 研究テーマ |
アジア地域における自動車使用過程・リサイクルの比較研究 |
| 委託元 |
補助事業 |
| 研究実施 |
環境省 |
| 研究内容 |
本研究ではアジア地域の循環システム構築のための情報整備を進めている。2007年度はタイについて調査した。現地調査により、廃車ガラの破砕・電炉鋼再生・ダスト埋立の処理フローを把握した。ただし、廃車ガラは南アフリカやオセアニアからの輸入であり、タイ国内からの排出は、ほとんどないことがわかった。また、周辺国への中古車輸出もほとんどないことがわかった。さらに、四輪車の使用状況(保有台数、走行距離、交換頻度など)に関するヒヤリングから鉛蓄電池およびタイヤの交換需要を推算し、使用済鉛蓄電池の排出個数が日本の約1/2、使用済タイヤの排出本数が日本の約1/5と、四輪車の保有台数(日本の1/8程度)に比べ多いことが推計された。使用済タイヤのリサイクルはセメント工場が、使用済鉛蓄電池のリサイクルは二次精錬工場が受け持っている。自動車登録制と車検・整備制度について現地調査をもとに、使用状況を考慮したコホートモデルを提案し、廃車台数の推計と車検・整備の実施・不備による排出ガス量の増減を求めた。この結果、2000年までの廃車台数は約年間約5万台程度であり、車検・整備不備によりCO排出量は2010年に4百万トンまで増加するが車検・整備実施により2百万トンまで低減でき、他の排出ガス量(HC、NOx)も同様な結果を得た。本テーマは、平成19年度廃棄物処理等科学研究費補助金「アジア地域における自動車リサイクルシステムの比較研究 (課題番号:K1955 研究代表者:外川健一(熊本大学法学部))」の研究分担者として実施した研究である。 |
| 研究テーマ |
直接排出ガスのSO2分析方法の検討 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
本研究では、直接排出ガス中の二酸化硫黄(SO2)を高精度に測定する手法を検討するため、基礎データを取得した。自動車用燃料の低硫黄化によって、排出ガス中のSO2が減少しているため、これまでの計測方法では、測定誤差が測定結果に大きな影響を及ぼす場合がある。測定誤差の要因のひとつと考えられる排出ガス中の水分の影響を受けないようにするため、排出ガスの希釈サンプリング法をSO2測定に適用した。測定の結果、本調査の範囲では、排出ガスの希釈割合や捕集溶液の濃度が測定結果に影響を及ぼすことが分かった。本調査で検討した希釈サンプリング法をSO2測定に適用することにより、測定精度が向上する可能性のあることを確認した。 |
燃料電池・電気自動車に関する研究
| 研究テーマ |
2007年度燃料電池システム等実証研究 |
| 委託元 |
補助事業 |
| 研究実施 |
経済産業省 |
| 研究内容 |
経済産業省の補助事業である「燃料電池システム等実証等研究」の中で、当研究所が燃料電池自動車等実証研究を担当し、(財)エンジニアリング振興協会(ENAA)が水素インフラ等実証研究を担当して事業を進めている。これら2つの実証研究は、水素・燃料電池実証プロジェクトと呼ばれており、2002~2005年度を第1期(JHFC1)、2006~2010年度を第2期(JHFC2)としている。JHFC2の主な目的は、燃料電池自動車(FCV)および水素ステーションの省エネルギ効果の確認、実使用に近い条件での課題明確化、規格や基準作成のためのデータ取得、水素貯蔵の更なる高圧化の実証、広報・教育戦略の策定実施、技術・政策動向の調査などである。2007年度はJHFC参加FCVの台上燃費計測を実施し、2004年度測定結果に対し、平均値(6台)で10.3%、トップランナで16.4%向上したことを示した。また、2008年にG8洞爺湖サミットが開催される北海道でのJHFC広報活動に連動して、FCVの課題のひとつである低温始動性の試験デモを実施し、冬季の寒冷地での実用性向上をアピールした。 |
| 研究テーマ |
EV用車載計測システムの構築準備とデータ蓄積 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
本研究は、現在NEDOが推進している電池開発プロジェクトと合わせて政府が電池搭載車(バッテリ電気自動車、プラグインハイブリッド自動車)の普及促進のために取組みを予定している「EV・pHVタウン構想」の実証試験において、主に電池性能(車両性能、利便性含む)の評価をするための技術蓄積を目的とする。この実証試験においては、電池の性能劣化および充電と走行時の総合的なエネルギ効率の評価などについて、いろいろな用途、走行・駐車環境、走行形態、充電形態での評価をすることが重要である。一般ユーザを対象とした大規模な実証試験では、ユーザへの負担が少なく、簡便で小型の計測システムが必要となる。このシステムの構築準備として、電池の電流・電圧・温度や車速、外気温度などについて、車両の制御通信信号による計測を試みた。センサを別途取り付けた直接計測果との比較から、制御通信信号より取得するデータが実証試験に活用できることを確認した。今後の取組みとして、2009年度に開始予定の「EV・pHVタウン構想」に先立って、制御通信信号による計測システムとして、最近の車両の統合制御通信プロトコルとして普及が進んでいるCAN(Controll Area Network)通信を利用した計測システムを準備し、データ分析・解析方法の検討を行う予定である。 |
衝突安全に関する研究
| 研究テーマ |
追突事故発生メカニズムの解明 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
事故マクロ統計データの中で最も件数の多い事故類型である追突事故の安全対策を検討するために、追突事故発生メカニズムの解明を試みた。本研究では、当研究所が200台のタクシーから収集した事故・ニアミス時付近の映像等が記録されているドライブレコーダデータと、調査対象となったタクシーの内で特定車両の特定期間における全運転記録を試行的に収集したデータを基に、先行車追従時の衝突危険性の変動を客観的に表すために当研究所が提案している”衝突余裕度”という指標を用いて、事故やニアミス直前の追従運転行動の特徴について分析した。その結果、事故・ニアミス発生直前と通常走行時との明確な違いがあることを確認した。つまり、事故・ニアミスが発生する少し前から、衝突してもおかしくない危険な追従運転パターンが現れるケースが多いことがわかった。この危険な追従運転パターンを明確に定義付けることにより、通常運転からの逸脱を予測・検知できる可能性がある。今後は追従運転行動に関して対照的な特性を持つドライバの運転行動の比較等から追従運転パターンと事故多発性などとの関係を分析していく予定である。 |
| 研究テーマ |
ドライブレコーダデータ解析技術の開発と応用 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
タクシー車両を中心に普及しているドライブレコーダの特徴は、事故やニアミス時付近の映像を動画として記録することである。一般の運送事業者は、事故のみのデータを利用することが多いが、JARIでは、日常的に記録されるニアミスのデータも運転教育(乗務員教育)へ活用することを検討している。そのためには、対象となるニアミスのデータを抽出する際など、膨大な件数の映像データを効率的に分析しなければならない。そこで本研究では、九州工業大学工学部と共同でドライブレコーダの映像データから追突モードの事故・ニアミスを自動判別するアルゴリズムを開発した。 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
開発したアルゴリズムは、①自車走行領域への侵入検知、②侵入物の種類の判別(自動車であるか否か)、③侵入物の接近形態の判別の3つの機能から構成されている。①では、自車の進行方向(前方)の路面上に他の物体が侵入しているかどうかを判別する。②では、侵入物が自動車であるか否かを自動車の画像的特徴から判別する。③では、②で判別された自動車とみなされる物体の接近形態によって追突モードの事故・ニアミスか否かを判別する。本研究の成果によって、目視では処理しきれないような膨大な件数の映像データの中からでも、追突モードの事故・ニアミスデータを実用的に自動抽出する目処が立てられた。 |
| 研究テーマ |
頚部局部損傷評価に関する研究 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
頚部傷害は椎体間の過度な相対変位により椎体間の軟部組織が損傷するために発生するということが通説となっており、頚部の局所的な損傷を評価するためのツール開発が求められている。そこで本研究では、頚椎の局所的な動きや変形を再現し、椎体間の軟部組織に発生するひずみと応力を精度よく表現できる頚部の有限要素モデルの開発を目的とした。頚椎捻挫受傷者の臨床研究に関する文献調査を行ったところ、頚部痛の症状発現部位として椎間関節が最も頻度が高く、また椎間関節周辺における傷害発生機序としては、椎間関節包の伸び、椎間関節の滑膜組織の損傷などが提唱されていることから、椎間関節を主眼に置きモデリングを行った。まずCT画像から椎体形状を抽出し、MRI画像および文献より構築した椎間板、関節包等を導入した。材料特性については材料試験を行うことが困難であったことから文献を調査し、各組織の応力-ひずみ曲線を決定した。今後は、本研究で作成したモデルにより椎間関節近傍における各椎体および椎間関節包の挙動を詳細に検討することで、頚部局部損傷評価に関する研究に活用していく予定である。 |
| 研究テーマ |
個体差の影響を考慮した高機能人体有限要素モデルの開発 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
本研究では、ミシガン大学と共同で46名分の胸腹部の断層画像(CT)データより、人間の胸郭構造および、骨密度等に関する生体情報を抽出するシステムを構築した。本システムでは、半自動的に断層画像上の骨を認識させ、CAD(形状)データとして胸郭構造を構成する個々の肋骨形状を定義するアルゴリズムを開発した。本アルゴリズムを適用することにより、胸郭の寸法、肋骨の長さ、脊椎に対する肋骨の角度等を自動的に計測することが可能となり、人体骨格形状の計測に役立てることができる。さらに、CAD上で定義された胸郭を3次元空間におけるデジタル情報に変換することにより、任意の肋骨断面の骨密度を計測することができる。こうした計測技術から得られた生体情報は、人体有限要素モデルの開発において必須となる、形状データ、材料特性などに活用することができ、年齢、体格および性別の違いをコンピュータモデル上に反映することができる。今後、本システムから得られた形状データを反映した年齢層毎の胸部有限要素モデルを構築し、年齢の違いによる影響についてシミュレーションより明らかにする予定である。 |
| 研究テーマ |
交通事故発生モデルの検証 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
効果的な交通安全対策を実施するためには、事前に想定する安全対策の効果評価を客観的かつ定量的に見積もることが必要である。本研究では、交通事故統計データの交通事故発生動向および死者数の年次変動を捉え、各種の安全対策の5~10年程度の中長期の効果予測を行うためのモデルを開発することを目的とする。そのための第一ステップとして、日本の交通死傷事故件数を推計するための交通事故モデルを作成した。その交通事故モデルは、①交通暴露サブモデル、②事故発生サブモデル、③事故類型配分サブモデルの3つのサブモデルで構成される。運転者の性別、年齢、車種、昼夜、道路構造の組み合わせからなる480種類の交通モード別に、①と②のサブモデルのパラメータを設定し、事故件数を推計した。さらに事故類型は道路構造に依存していることに着目して、昼夜・道路構造別に事故類型別の配分比率を設定し、事故類型別の事故発生件数を推計した。モデルによる過去のデータでの推計値と実績値がほぼ一致することを確認した。このモデルにより、将来の交通死傷事故件数の推計が可能となり、安全対策の効果評価のための基盤技術を構築することができた。今後は、死亡重傷事故モデルへの応用や安全対策のモデル化について検討し、安全対策の検討のためにより有効なモデルへ進化させる予定である。 |
予防安全に関する研究
| 研究テーマ |
ドライバの情報処理過程に基づく動的な事故メカニズムの研究 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
本研究では、ドライビングシミュレータ(DS)による実験データの解析、およびパソコンを用いたヒトの運動制御に関する基礎的な実験を行い、追従走行時に見られる減速過程でのドライバの操作の分析を試みた。DSによる減速過程のデータ解析では、追従走行時における減速過程において、ブレーキ操作が先行車との相対関係からは単純に決定されていないことを示した。これは、ドライバが時々刻々に入力される情報だけでなく、その時点までに得た走行履歴に基づいた予測なども総合し、最終的な行動を決定していることを示唆するものである。この結果に基づき、時間的な予測効果を考慮した追従モデルを試作した。一方、パソコンでのターゲット追跡実験によるヒトの運動制御特性の分析では、フィードバック制御相、先行制御相などの定性的に異なる運動制御モードの相図(相境界、遷移過程)の存在を明らかにした。遅れを持つシステムでは先行制御の領域が拡大する傾向にあり、さまざまな遅れの要因を持つ運転操作もこの領域に含まれる可能性がある。これらの知見に基づき、先行制御の定性的なモデルとして、時間遅れを含むフィードフォワード制御モデルを提案した。 |
| 研究テーマ |
交通安全教育ソフトの普及 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
2006年度につくば市内小学校へ配布した、当研究所制作の交通安全トレーニング・ソフトウェア「おでかけぱんだ」の活用状況等について、アンケート調査を実施したところ、ソフトには興味が示されたが継続して活用されていないことがわかった。そこで、ソフトの活用充実を図るために、つくば市他の小学校ならびに所内において、交通安全教室を実施した。実施内容は、まずソフトの体験を通して事故に遭わない歩き方のポイントを学び、次に、実車を用いて事故が起きやすい危険な交通場面を再現し、事故に遭わない確認方法を、実演と体験を通して学ぶものである。当研究所のノウハウと機材を活用したこの交通安全教室は、わかりやすく、身近に交通安全が学べるとして、子どもたち・先生から好評をいただいている。また、広く交通安全意識の向上を図るため、(社)日本自動車会議所主催「交通安全。アクション2007」、内閣府主催の「交通安全フェア」、(社)愛知県トラック協会主催の「トラックと交通安全・環境フェア」、つくば市主催「つくば産業フェア」など、交通安全啓発事業にも参加した。 |
| 研究テーマ |
非拘束モニタリングにもとづく追突防止支援と過信抑制インタフェース |
| 委託元 |
補助事業 |
| 研究実施 |
(独)日本学術振興会 |
| 研究内容 |
適切な追突警報タイミングを設定する方策を検討するために、2種類のタイミングによる運転行動への影響を比較した。具体的には、個々のドライバの減速行動に適応させた比較的遅いタイミングの警報(個人適合型)と特定の警報アルゴリズムを用いた比較的早いタイミングの警報(非個人適合型)とで、警報に対する反応および欠報が生じた場合のブレーキ操作への影響の違いを、ドライビングシミュレータによる走行実験により検討した。その結果、個人適合型のタイミングと比較して、非個人適合型による比較的早いタイミングを用いることで、先行車との追従車間時間や先行車の減速度によらずドライバの減速行動のタイミングが一定になることを確かめた。しかしながら、欠報が生じた場合のドライバの運転行動として、非個人適合型のタイミングと比較して、個人適合型による比較的遅いタイミングを用いることで、ブレーキ操作への影響が少ないことを確かめた。さらに、ブレーキ操作への影響が少ないことで、個人適合型のタイミングの場合には欠報が生じたことによるドライバの警報システムに対する信頼への影響も軽減できることを明らかにした。本テーマは、文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(A)「非拘束モニタリングにもとづく追突防止支援と過信抑制インタフェース(課題番号:18201031研究代表者:伊藤 誠(筑波大学リスク工学専攻))」の研究分担者として実施した研究である。 |
| 研究テーマ |
視認行動支援システムに関する研究 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
本研究では、ドライバ状態および交通環境の違いによる運転中の視覚的な特徴を、有効視野の範囲、光点に対する反応時間を用いて検討した。具体的には、ドライバ状態として暗算タスクによる認知的な負荷の有無、交通環境の混雑度として道路周辺の他車両や歩行者の数の違いを考慮した、ドライビングシミュレータによる走行実験を行った。その結果、認知的な負荷によって、ドライバの視野の大きさが異なると同時に、交通環境の複雑性によって、視野への影響度合いが異なることを明らかにした。 |
| 研究テーマ |
ドライバの状況認識と注意リソースによる運転特性把握に関する研究 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
本研究では、運転支援システムを評価する方法の1つとして“ドライバの注意”に着目し、支援を受けるドライバの注意の定量化方法を検討した。また、検討した定量化方法を用いて、通信を利用した不可視の対象に関する情報を利用するドライバの注意の特徴を実験的に明らかにすることを試みた。前方の停止車両情報を例として、ドライビングシミュレータ(DS)を用いた被験者実験を行った。情報提供装置のあり/なし、および対象停止車両の可視/不可視により4つの場面を設定し、それぞれの状況におけるドライバの視認行動および光点検出反応のデータを取得した。動的利用可能視野という考え方を活用し、ドライバが周囲状況の変化に気づくことができる範囲(状況認識における知覚:SAレベル1)を確率的に分析できる方法を構築した。この方法を用いてDS実験結果を分析した結果、不可視の対象に関する情報が提示された状況では、気づくことができる範囲が狭くなる可能性があることが示唆された。今後は、注意の深さや方向についても定量的な分析ができるよう、データを蓄積しながら解析方法の検討を進めつつ、不可視の対象の情報に対するドライバの注意特性を明らかにしていく。 |
| 研究テーマ |
交通安全教育手法の検討(自転車事故) |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
当研究所が保有している、タクシーに搭載されたドライブレコーダから得られた自転車とタクシーのニアミス映像を活用し、自転車事故低減に役立つ教材を検討した。子どもの事故に多く見られるニアミス映像を選び、加工を加え、テスト版映像とした。この映像をもとに、小・中・高校生を対象に、試写と聞取り調査を実施したところ、実例による映像は衝撃度が大きく、啓発効果が認められた。しかし、教育対象としている小学校高学年程度の年齢では、運転手側の視点映像から、事故の事象や要因を理解することは、難しい面があることもわかった。そこで、交差点横断時の二段階確認など、運転手側に自転車をより効果的に認識させる安全確認方法の習得をめざす教育ソフトを試作した。今後は、ドライブレコーダの映像を用いた啓発と、教育ソフトによる学習を組み合わせた教材作成を検討する予定である。 |
ITSに関する研究
| 研究テーマ |
ITS産業動向に関する調査研究 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
自動車と道路交通環境を知能化・情報化させることにより,便利で安全な交通システムの実現を目指すITSは,カーナビやETC分野で目覚しい発展を見せている.また,ITSを利用することで,環境負荷への低減に貢献していこうという取り組みも各方面で進んできている.今後,ITSが社会システムとして継続的に発展し,貢献していくためには,継続的に現状を把握し,課題を抽出していかなければならない.またその解決に向けては,関係機関や企業等だけではなく,ユーザの視点も加えた幅広い視点による調査が必要となる. 本調査研究では,ITS関連のエンジニアとアナリストによる研究会を設置し,アンケートはインタビュー,文献調査などを通じてITSの市場動向について幅広く調査を行っている. 調査は,ETCやテレマティクス分野のように,既に市場として動いている分野においては,関係機関や企業等へのアンケートやインタビューを中心に,数年後の市場の分析を行うとともに,今後の発展に向けての課題や解決策についての整理を行った.また,今後期待される分野については,インタビューや文献調査を中心に現状の技術動向と今後市場を形成するための課題の抽出を行った. また,作成した報告書については,その成果を広く関係者に利用していただくため,一般に頒布し,関係学会等での発表を行った. |
| 研究テーマ |
DSRC車載器の標準化・普及促進に関する事業 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
本研究は,DSRC(狭域通信)を利用した車載器の標準化と商品化を促進し,2004年度~2005年度に愛知県において実証実験を実施したITS自動決済システム(汎用クレジットカード方式)の早期実用化を促進することを目的とする. 2007年度は,(財)道路新産業開発機構(HIDO),(社)電波産業会(ARIB)と連携して,路車間相互接続性確保とセキュリティシステム運用のための体制構築の活動を支援した.2008年1月末にDSRC運用管理機関設立趣旨説明会が開催され会員募集が行なわれた.2008年6月以降,新たな体制での活動が開始される見込みである.今後も,必要に応じて支援を検討する. 特定非営利活動法人ITS JapanのDSRC等応用サービス普及促進委員会,およびその傘下のロードマップWG,メディア連携WG,普及促進WG,広報WGにおける検討に参加した.2008年度も委員会活動は継続される予定であり,引き続き参画して行く. 車載器の発売が2009年春以降に延期されたため独自の試験確認は断念したが,スマートウェイ2007の一環として実施された丸ノ内鍛冶橋駐車場におけるITS自動決済ステムのデモに路側機器を貸し出す形で協力,早期実用化の機運醸成を図った. |
その他の研究
| 研究テーマ |
自動車関連データベースの作成 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
自動車産業界を取り巻く環境の変化は激しく,情報の入手・分析が重要な課題となっている.同時に,当研究所に求められる内容も高度なものへと移行しており,シンクタンクとしての役割を果たすために,種々の要請にタイムリーに応えることが求められている.この対応を可能とするには有効なデータベースを保有していることが必要条件である.現在進めているデータベース構想は自動車を中心とし,当研究所の各部署で進められている研究課題に対応・支援できる利用頻度の高いデータを収集・管理し,かつ利用形態に合わせたデータ検索システムを作成することを目的としている.収集しているデータは世界100ヵ国(先進国50ヵ国,途上国50ヵ国).時系列データは1975年以降を収集している.データは以下のとおりである.
- 基礎データ(人口,GDP)
- 各種エネルギ量・自動車エネルギ消費量
- CO2排出量
- インフラ(鉄道・道路延長距離)
- 自動車関連データ
- 販売,生産:国別車種別販売・生産台数
- 保有:国別車種別・燃料別保有台数
- 輸出入:国別車種別新車の輸出入台数
- 中古車:日本発の中古車輸出台数
- 燃料別価格データ
- 車両別燃料消費率
- 機関別輸送量(貨物・旅客)
データはすべてExcelに書き出し可能で,研究目的にあった解析・加工等をできるようにしている. |
| 研究テーマ |
中国自動車部品産業の現状調査 |
| 委託元 |
所内研究 |
| 研究内容 |
中国自動車市場は,巨大市場として世界の自動車産業が注目しており,中国市場の成長性を期待してビジネス活動を活発化させている.日本の自動車部品産業も,これまでに多くの企業が進出している.中国に進出している日系部品メーカに関する調査報告書が数多く出されているが,現地の純粋民族企業についての調査・報告は殆どない.断片的な報告では,純粋民族企業の実力は品質,納期,生産の柔軟性,開発力,設計力,労働の質等において,現地日系企業と比較して約60%程度と分析されているが詳細な情報は皆無である.本研究は,対中国自動車戦略の基礎資料を提出することを目的とし,わが国にとって未開の世界である中国純粋民族企業の実態を調査・分析するものである.2007年度は日米欧系の現地部品メーカと比較する形で中国純粋民族企業を調査した.その結果,数万社の部品企業が存在しているが,自動車メーカの要求規模に達しているものは極めて少ない.それに続き,中国の部品メーカは専門的分業,合理的供給といった産業構造が形成されていない.今後,自動車メーカの要求水準を満たすことができない部品企業の淘汰が本格化することが予想される. |